去年も、おととしも、糸を垂らせばすぐに食ってきた。正直、「今年も余裕でしょ」とニヤけながら宇検のイカダへ渡ったのが、つまずきの始まりでした。
朝8時から夕方5時まで、たっぷり9時間粘って、まさかのボウズ。これがわたしにとって、宇検のイカダ釣りで初めての“丸坊主”です。ところが海はちゃんと、別のごほうびを用意してくれていて。ウミガメ、イルカの群れ、そして帰り道中イノシシ親子に、黒うさぎの赤ちゃん!釣果だけ見れば惨敗なのに、なぜか忘れられない一日になりました。
宇検イカダの釣行データ
| 日時 | 2026年5月23日(土)8:00〜17:00 |
|---|---|
| 釣り場 | 奄美大島・宇検村のイカダ(渡船) |
| 釣り方 | サビキ/泳がせ(飲ませ) |
| 狙ったタナ | 底から5mほど上(船長アドバイス) |
| 釣果 | ボウズ ※このあと帰着港でリベンジ |
持ち込んだのはサビキと泳がせ。やる気だけは満タンだった

タックルはサビキと泳がせ(飲ませ)の二本立て。去年までの感覚なら、これで十分すぎるはずでした。クーラーは大きめ、保冷剤も多め。完全に「持ち帰る気まんまん」の装備です。
じつはこのイカダのすぐ近くには、クロマグロの養殖場があります。船長いわく、最近この近くで27キロのクロマグロが釣れたそうで、「たぶん養殖場から逃げてきたんだろうね」とのこと(笑)。
しかも「狙ってみたら」のひと言つき。そう言われたら、もう火がつきます。今回の一番の狙いは、サビキで釣ったムロアジを生きたまま泳がせ、その大物を掛ける「泳がせ釣り」でした。うまくいけばマグロが食ってくるかも、と夢だけはふくらませていたんです。
渡ってすぐ、船長の指示は明快でした。「サビキを底まで落として、そこから5mくらい上を狙ってごらん」。なるほど、底どり優先か。素直にうなずいて、第一投。ここまでは、まだ笑っていられたんです。
アタリは数えるほど。デカすぎるムロアジに、100均針が泣いた
ところが、です。あれだけ素直にタナを合わせたのに、アタリはほんとうに数えるくらい。沈黙の時間がやたらと長い。海面はおだやかなのに、糸先はうんともすんとも言いません。
それでも2回だけ、表層まで一気に引き上げるチャンスがありました。掛かったのは良型のムロアジ。ただ、これがデカすぎた。100均のサビキ仕掛けは糸が細くて、グンッと締め込まれた瞬間にプツン。2回とも、海へお帰りいただくハメに。このムロアジを泳がせれば本命のクロマグロ、という皮算用も、肝心のエサを取り込めなければ始まりません。
切られた仕掛けを見返すと、やっぱり針まわりも幹糸も頼りなかったです。小アジ狙いなら十分でも、宇検のイカダみたいに大きなムロアジや青物が回る場所では、最初から強めのサビキを入れておくべきでした。

あわてて強めのサビキ仕掛けに替えたものの、今度はアタリそのものがぱったり。結局、ムロアジを追加できないまま、泳がせのクロマグロは夢で終わりました。大物が回る場所なら、最初から強度のある仕掛けを持ち込むべきでしたね。太めの仕掛けを用意するなら、サビキ仕掛けおすすめも見ておくと選びやすいです。
去年・おととしは爆釣だったのに…
振り返れば、ここ2年はウソみたいに釣れていました。タナは表層から5〜10mほど落としたあたり。バケツがにぎやかになるのが当たり前で、ボウズなんて言葉、頭の片隅にもなかった。
だからこそ、今年の沈黙はこたえます。引き上げるたびに軽いクーラーが、やけに身にしみる。同じ場所、同じ仕掛けでも、年が変われば結果はまるで別もの。これだから自然相手はあなどれません。

船長いわく「今年は1か月、釣れるのが遅い」
あまりの渋さに理由を聞いてみると、船長はひと言。「今年はね、釣れ出すのが1か月くらい遅いんだよ」。
ああ、そういう年なのか。魚が消えたわけじゃなく、こちらが少し早かっただけ。悔しいけれど、これは来シーズンの宿題ですね。次はちゃんと時期を合わせて渡ろう。
撒き餌に集まってきたのは…まさかのウミガメ大集合(笑)
沈黙のイカダで、唯一にぎやかだったのが撒き餌まわり。コマセを効かせると、ゆらり、ゆらりと何かが寄ってきます。……ウミガメです。それも1匹2匹じゃない。魚そっちのけで、カメに大盛況。
狙ってないお客さんばかり来る日って、ありますよね。あまりに堂々と泳ぐので、途中からは「まあ、見ていられるだけマシか」と。これはこれで、奄美らしい景色ではあります。

夕方、海の色が変わってイルカの群れが襲来
半分あきらめモードで、夕方ぼーっと海を眺めていた、そのときでした。沖から、群れがこちらへ向かって入ってくる。イルカです。
背びれがいくつも水面を割って、すぐ目の前を泳いでいく。釣り人のテンションって単純なもので、ここで一気にバク上がり。さっきまでの“無”が、嘘みたいに吹き飛びました。正直、これだけで来た甲斐があったと本気で思える瞬間。ボウズの一日に、こんな主役級のシーンが用意されているとは。
写真は小さくしか写らなかったので、今回は載せません。目の前を泳いでいく背びれの列に、竿よりカメラを構えていた時間のほうが長かったかもしれません。
仕切りなおしの宇検漁港で、まさかの入れ食い
イカダから戻っても、まだ気持ちが収まらない。「このまま手ぶらで帰れるか」と、帰着港の宇検漁港でサビキを再開しました。すると、足元で小魚が入れ食い。さっきまでの沈黙はどこへ行ったのか、という豹変ぶり。
トカジャー(ニザダイ類)や、南国カラーの熱帯魚まで顔を出して、最後にしっかり遊んでもらいました。食べられるサイズを3匹キープ。結果、ゼロでは終わらず、ちゃんとおかずも確保。イカダの借りは、港で少しだけ返せた格好です。
そのリベンジ戦の全記録はこちら。

帰り道、イノシシ親子に黒うさぎの赤ちゃん。神秘的すぎた
そして、この日のクライマックスは海ではなく、帰りの山道で待っていました。
ヘッドライトの先に、イノシシの親子が4頭。ぞろぞろと道を横切っていきます。さらに進むと、今度はアマミノクロウサギの赤ちゃんがちょこんと。国の特別天然記念物、しかも赤ちゃん。出会えること自体が奇跡みたいな存在です。
ボウズの日に、ここまで濃い出会いが重なるとは思いませんでした。釣れなかった悔しさまで、帰り道の景色に少し薄められていくようでした。
ライトに浮かんだ親子。釣れなかった一日の、最高の見送り。


- 🎣釣った魚(イカダ)0匹
- 🐢ウミガメ複数
- 🐬イルカ群れで来訪
- 🐗イノシシ親子4頭
- 🐇アマミノクロウサギ(赤ちゃん)1匹
まとめ:ボウズでも、こんなに豊かな釣りがある
釣果だけ見れば、イカダは完敗。初ボウズの悔しさは、正直あります。でも、ウミガメに笑い、イルカに感動し、港でリベンジして、最後は黒うさぎに見送られる。釣れた魚の数では、とてもはかれない一日でした。
思いどおりにいかない日ほど、あとから妙に覚えているものです。船長の言葉どおり、今年は1か月遅れ。次はちゃんと待ってから、またあのイカダへ渡ります。
同じ日の宇検漁港リベンジ戦は、こちらの記事でたっぷりどうぞ。
















































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